1-3 原子炉の廃止措置に適用する切断技術開発

−プラズマジェットを用いた炉内構造物及びデブリの切断・破砕−

図1-9 プラズマジェットによる金属及び非金属の切断

図1-9 プラズマジェットによる金属及び非金属の切断

プラズマジェットによりステンレス鋼と耐火レンガを切断しています。

 

図1-10 切断後のステンレス鋼

図1-10 切断後のステンレス鋼

プラズマジェットによって水中で切断したステンレス鋼の状態を示しています。

 

図1-11 鋼材及びセラミックスに対する切断性能

図1-11 鋼材及びセラミックスに対する切断性能

プラズマジェットの空気中及び水中での鋼材及びセラミックスに対する切断性能を示しています。

 


炉心溶融に至った東京電力福島第一原子力発電所(1F)では、通常の廃止措置とは異なり、燃料デブリを撤去する必要があります。1Fの炉内構造物は、燃料デブリと混在した状態となっていると想定されるため、切断技術の選定にあたっては、鋼材のみならず燃料デブリのような靱性が低く、高硬度の材質の切断や破砕が可能なこと、高い放射線量下での作業となるため、遠隔操作性を有することが必要です。私たちは、試験研究を終えた原子炉施設等の廃止措置を進めており、解体に係る様々な技術や知見を蓄えてきました。

そこで私たちは、大洗研究開発センターにおいて進めてきた切断技術開発の成果を基に、1Fの燃料デブリと炉内構造物の取出しに適用する切断技術として、プラズマジェット切断技術の開発を実施しています。

プラズマジェットは、鋼材やコンクリートを切断することを目的に開発したもので、トーチ先端部の形状については特許を取得しています。従来のプラズマアークとは異なり、トーチ内部の電極とトーチ先端部のチップとの間で放電させ、プラズマを発生させるため、金属のみならず導電性のない非金属も切断が可能です(図1-9)。また、熱衝撃作用を用いることにより耐火レンガ等も破砕することができます。

しかし、プラズマジェットは空気中で使用することを想定し開発したものであり、1Fの炉内解体物や燃料デブリの取出しに適用するためには、水中での使用が可能なこと、デブリのような厚い塊状のものを切断・破砕するためには、高出力化を図ることが求められます。

このため、水中において高出力で使用できるプラズマジェットトーチを開発し、2014年度のトーチ先端部のチップの耐久性確認試験において、ノズル径が5.0 mm,拘束比(ノズル径と拘束部長さの比)が3.0のチップで、600 Aの出力で30分以上、プラズマが出射できることを確認しました。また、鋼材及び燃料デブリを想定したセラミックスに対する切断性能及び破砕性能の確認試験を実施し、鋼材に対し空気中で40 mm厚,水中で30 mm厚の切断が可能なこと(図1-10,図1-11)、セラミックスに対し空気中で38 mm厚,水中で42 mm厚の切断と水中において50 mm厚の破砕が可能なことを確認しました。

今後は、1Fへの適用性を確認するため、切断試験や性能評価、遠隔操作技術を組み合わせた総合的な燃料デブリ取出しシステムの検討を進め、得られた成果を1Fの廃止措置に役立てます。



| | | | |